SNSマーケティングとは、その名の通りSNSを用いて行うマーケティング手法のことです。企業が商品やサービスに関する情報をSNSを介して発信し、認知度や好感度を高めることを目的としています。効果的なSNS運用を行うことで、短期間で急激に認知度やアクセス数を高めたり、顧客とのコミュニケーションを通じてロイヤリティを高めるといったことも可能です。
また、顧客情報の獲得という面でもSNSマーケティングを行うメリットがあります。
企業が公式アカウントを運用することで、SNSに登録されているユーザー属性を把握し、さらなるマーケティングに活用するデータを収集することができるためです。商品やサービス、企業情報に関するサーチを行うことで、市場調査などのアンケートなどとは違った顧客の生の声やリアルタイムの情報を得ることができます。
目次
SNSマーケティングについて

今回は、SNSマーケティングについてお話しします。
SNSマーケティングとは、SNSを活用したマーケティング手法です。特徴として無料で施策できるなどコストがおさえられ、SNSの強みである拡散力により多くのユーザーをターゲットにサービスや商品購入までの導線を構築できます。
SNSマーケティングでは、SNSを活用して商品やサービスの認知やブランディングできるので、何らかの形で活用する企業が多数を占めています。
SNSは顧客と直接的にコミュニケーションでき、ファンの育成も可能です。
また、2018年6月にはInstagramにShopの機能がリリースされ、SNSの閲覧から購入に直接結びつけることができるようになりました。
従来のサービス認知、ブランディング、ファン育成のみでなく、SNS経由での売上向上も注目されているポイントです。
自然流入検索との違い
検索エンジン経由のオーガニック流入を増やすには、検索エンジン上で上位表示させるSEOマーケティングをおこなう必要があります。検索結果で上位表示されるには、情報が整理されて網羅性のあるコンテンツを制作する必要があります。検索結果はGoogleのアルゴリズムが変動するまで大きく上下しないため、上位表示されたら一定期間の流入が見込めます。
一方で、SNSで求められるコンテンツは、投稿を見ているユーザーに興味を持ってもらう必要があるため、トレンドや流行性のあるコンテンツが求められます。
また、検索結果がストック型(注1)であるのに対して、SNSはフロー型(注2)のため、バズれば短期的に大きな流入が見込めるのがポイントです。
(注1)ストック型:継続的にユーザーに求められるタイプのコンテンツのこと
(注2)フロー型:短期的にユーザーに求められるタイプのコンテンツのこと
広告流入との違い
広告流入は、様々な種類の目的に合わせた広告がありますが、出稿に料金がかかるタイプの広告では、CPA(Cost Per Action:顧客獲得単価)を合わせるために購入や問い合わせなど売上に直結するようなコンバージョンを求めることが多いです。そのため、既にサービスに興味がある層にリーチし、訴求内容は課題解決する方法を明示する内容であることが多いです。
一方で、SNSはサービスや商品について知らない層にアプローチして認知してもらい、フォローしてもらうことで定期的にユーザーにアプローチして顧客の育成をおこなうことができます。そのため、ファンの育成につながります。
またSNSで企業アカウントをフォローしてもらえていれば、定期的なアプローチにもなるため、サービス想起がされやすくなり、リピートにもつながりやすいと言えます。
代表的なSNSの特徴
LINE

LINEは幅広い年齢層に利用されているSNSです。匿名でも可能ですが、連絡先リストの意味合いも兼ねているため、実名や個人名が特定しやすいニックネームの利用も多いです。
日常的な連絡ツールとしても活用されるのがLINEです。クローズドなコミュニティや1体1のコミュニケーションが取りやすいため広告や宣伝にも向いています。
ユーザー数 | 約8400万人 |
利用年代層 | 10代〜60代の世代の利用率は86.9% |
特徴 | ・電話機能が無料で使える ・スタンプを使用したコミュニケーションもおこなえる ・企業は無料スタンプをインセンティブに友達追加を促進できる ・比較的、幅広い年代に使用されている |

Twitterは、140文字でテキストベースで投稿するSNSです。匿名でのアカウント作成が可能なので、リアルな交友関係だけでなく好きな芸能人やコミュニティー専用のアカウントを作成して、ファン同士でフォローし合うということが多くあります。
散力が高く、即時性の高い情報を発信できるのがTwitterの特徴です。情報を多く伝える目的には不向きですが、ハッシュタグによる検索機能もあるため、リアルタイムでの情報収集ツールとしても活用されています。
ユーザー数 | 約4500万人 |
利用年代層 | 10代〜60代での利用率は38.7% |
特徴 | ・国内のユーザー数はFacebookより多い ・テキストベースでのコミュニケーション ・開放的なコミュニティ ・匿名での利用が可能 ・即時性やトレンドのツイート検索がおこないやすい ・ユーザーの年齢は若めで10〜20代の利用割合が高い ・フロー型のため、話題のツイートとなる期間が短い |

Instagramは、写真や動画など視覚で楽しめるコンテンツ共有SNSです。ブランディングにも多く活用されており、ファンをつくりやすいのが特徴です。
Instagramはユーザーの投稿も盛んで、デイリーアクティブユーザーの70%がストーリーズの投稿をおこなっているとの結果も発表されています。最も見られたストーリーズの投稿のうち3分の1はビジネス投稿であり、日本におけるSNSを使ったマーケティングは非常に盛んでありつつ効果もあるといえるでしょう。
テキストではなく動画や画像で情報を伝えることに長けているため、ファッションやコスメなどの世界観を作りやすいジャンルの投稿に向いています。ショッピング機能や広告など多機能なSNSとして企業でも活用される事例も増えています。
ユーザー数 | 約3300万人 |
利用年代層 | 10代〜60代での利用率は37.8% |
特徴 | ・視覚的に楽しめるサービス ・24時間限定公開のストーリーズ機能は ・ハッシュタグの掛け合わせ検索ができない ・ビジュアルでの一覧化に長けている ・人気投稿を狙うと長期間で投稿の閲覧を見込める ・2019年よりアプリでいいね数が非表示となった ・インフルエンサーを活用した投稿依頼が多い ・20~40代のユーザー層がメイン |

Facebookは原則実名での登録となっているSNSです。そのため、リアルでも交友関係のあるユーザーとの交流がメインです。
コミュニティの機能があるため、共通の趣味でつながることもできます。
30~40代のビジネスマンの利用者割合が高いため、toBやビジネス寄りの商品のPRにおすすめです。
ユーザー数 | 約2600万人 |
利用年代層 | 10代〜60代での利用率は32.7% |
特徴 | ・世界最大のユーザー数を持つSNS ・実名での登録が原則のため、炎上をしにくい ・やや閉鎖的なコミュニティである ・30代〜のビジネスマンの利用数が多い ・若者のサービス離れが話題になっている ・ビジネスの場での名刺交換代わりに使われる |
YouTube

YouTubeは世界で最も人気な動画配信プラットフォームです。日本国内の月間利用ユーザー数は6,200万人。
日本国内では10代~40代にかけて幅広い年齢層のユーザーに利用されています。
YouTubeにて多くのフォロワーを集める「ユーチューバー」はエンタメから専門的な話題まで多種多様が存在。YouTubeにおける「インフルエンサーマーケティング」は他SNSと比べても市場が大きい特徴があります。
ライブ配信機能もあるため、ライブコマースなどで商品のPRを行ったり、スーパーチャットという投げ銭システムにより収益化できるなど幅広い活用法があるのも魅力です。
Google社傘下のサービスのため、ビッグデータを活用した広告配信もあわせて可能。
ミレニアル世代に刺さる縦型動画広告フォーマットも導入されており、活用の場面は今後さらに増えることが予想されます。
ユーザー数 | 約6500万人 |
利用年代層 | 10代〜60代での利用率は76.4% |
特徴 | ・世代を越えて幅広いユーザーがYouTubeを利用している ・動画広告の市場規模は拡大している ・体験が直観的に伝わるのでユーザーへの訴求力が高い ・YouTubeカードなどのCTAが豊富 ・マス広告に比べて安価に制作できる ・ストック型コンテンツでありSEO効果を狙える |
SNS広告の効果
次にSNSに有料広告を出した場合どのくらいの効果があるのか、インスタグラムを例にご紹介いたします。
まず下記の方法が4つあります。
CPM(Cost Per Mile)
CPMとは、インプレッションの数に応じて料金が発生する方法です。
インプレッションとは、ページが表示された回数のことであり、より多くの人に広告を見てもらい認知度アップを目的に広告配信する場合に向いています。
1リーチあたり0.5~1円が目安です。
CPC(Cost Per Click)
CPCとは、広告がクリックされた回数に応じて料金がかかる仕組みです。
広告をクリックしてもらい、自社サイトやダウンロードページ、商品購入ページへの誘導をしたいときに向いています。
1クリック40~100円が目安です。
CPI(Cost Per Install)
CPIとは、アプリがインストールされるたびに料金が発生する方法です。
アプリのインストールを目的としたキャンペーンやサービスに向いています。
1インストール100~150円が目安です。
CPV(Cost Per Video)
CPVは、動画の再生時間に応じて料金が発生する方法です。
動画の再生時間が合計10秒以上、またはほとんど再生された場合に広告費が発生する仕組みになっています。
動画広告に関しては、CPV以外にインプレッション数のCPVの方法で出稿することも可能です。
より多くの人にリーチさせて認知度を上げたい場合は、CPVで出稿すると良いでしょう。
1再生4~7円が目安です。
そして実際ある飲食店が以下の条件で広告を出したところ以下のような結果がわかりました。
【条件】
- 広告主:飲食店
- 広告の種類:リーチ
- 費用合計:5,000円
- 配信日数:3日間
- 配信先:instagramストーリーズ
- 配信結果 リーチ数:130,397
広告費用は5,000円ですが、インプレッションは13万回を超えていました。
実際にオープンしたときは行列ができるほどの大盛況となる結果になり、費用対効果としてはかなり良い結果となっています。
適切な広告の種類の選択、配信先を選んだことにより、広告効果を最大することができたと言えるでしょう。
インスタ広告の効果を上げる方法
そしてさらに、インスタ広告の効果を上げるための効果的な施策を5つご紹介します。
ターゲットを明確にする
誰にどんな内容を訴求するのか、ターゲットを明確に設定することが大切です。
「多くの人に見てもらいたい」という気持ちは分かりますが、1人にすら届かない広告は多くの人にも届きません。
まずは、訴求したいターゲットを細かく設定して、効果を測定しながらクリエイティブを変更していく方法が効率的になります。
インスタ広告の効果測定の方法は、下記で紹介しています。
ビジュアルに訴えるクリエイティブを作る
広告はユーザーに見てもらえなければ効果につながりません。
Instagram内の広告は、投稿やストーリーズなどに配信されますが、思わずユーザーが指を止めて見てもらえるようなクリエイティブを作ることが重要です。
CVに繋げるためには、ビジュアルに訴える広告を作ることが必要になります。
ターゲットに合わせたクリエイティブ広告を使い分ける
同じクリエイティブ広告を使い続けていてもユーザーに飽きられてしまいます。
新鮮さがなくなり、見飽きられてしまうので、クリエイティブを改善したり、定期的に入れ替えることで効果の向上も見込めるでしょう。
また、インスタ広告では年齢などのセグメントを細かく設定できるので、ターゲットに合わせた広告を使い分けることで費用対効果も上がってきます。
モノの価値ではなく体験的価値を訴求する
インスタのメインユーザーは、平成生まれの10〜30代の若年層です。
この世代は、モノの価値ではなく体験的価値(コト)を重要視しているので、自社商品のブランド訴求ではなく、商品を使うことによって得られる効果を訴求する方が効果的になります。
ストーリーズを有効活用する
インスタグラムのストーリーズは、1つの動画を投稿すると15秒しか表示されません。
ストーリーの15秒を有効活用して、通常の投稿と変わらない自然な内容を作り込むことで、見てくれるユーザーも増えるでしょう。
SNSマーケティング成功のためには
全てのSNSを同じように扱う
SNSには種類ごとにそれぞれ特徴があります。すべてのSNSチャネルで同じメッセージのコンテンツを投稿しても効果は期待できません。テストを繰り返し、どのメッセージがどのSNSでエンゲージメントを呼び寄せるのか理解することが大切です。また、SNSごとにそのSNS特有の「話し方」が存在します。自社のターゲット顧客層がどのような言葉をどのSNSで使っているのか分析し、それに合わせてコンテンツを作成することも大切となります。
エンゲージメント(関係度、愛着、つながり)を高める
SNSを通じて、企業とユーザーの関係を強化していくエンゲージメント本来の意義と、それを可能にするユーザーのアクション(いいね、コメント、リツイートなど)などを目的として追っていくことは非常に大切です。
SNSマーケティングには様々なゴールを設定できますが、いずれにしても根本に必要不可欠なのが、ユーザーとのエンゲージメントを高めることです。
丁寧で親切な対応をする
自社や商品・サービスに関係する疑問やネガティブなコメントを発見したら、スピーディーに対応するのが大切です。
社内に豊富なリソースがあれば、ユーザーのコメント内容を精査し、謝罪の要否などを判断、リプライを飛ばしながら、再度DMなどで個人的な対応をとるのが望ましいです。
基本的には迅速なサポートが最善ですが、リソースがほとんどない場合は、安易な判断でリプライをせず、見の姿勢を維持して、対応できる段階を待つというのも手です。
なお、賛否にかかわらずユーザーからのサイテーション(言及)を把握しておくために、各ソーシャルメディア上でのエゴサーチは欠かさないようにしましょう。
役立つ情報の発信(宣伝だけにならない)
ときには自社や商品・サービスのプロモートを目的としたコンテンツも必要ではありますが、主体となるのはユーザーに役立つ情報や、ユーザーを楽しませるような面白いコンテンツを発信するようにしてください。
イメージとしてはパレートの法則にもある20-80ルールを参考にして、20%を自社や商材のプロモートに、残りの80%を良質な価値を持った情報の提供に当てると良いです。
まとめ

SNSマーケティングを成功させるために、最も重要なコツをひとつ挙げるならば、それは「使うプラットフォームや手法の特性を知り尽くすこと」といえます。
しかし、それがなかなか難しいのも現実といえるでしょう。
ここまでご覧いただくとわかるととおり、SNSマーケティングの範疇は多岐にわたります。プラットフォームも手法も数多くあり、しかもそれらは増えたり減ったりとアップデートを繰り返しています。
自社内で最新SNSマーケティングの知見を収集し続けるのが難しければ、一部はアウトソーシングして、プロのスキルを有効活用するのが得策です。
SNSマーケティングは、認知拡大、ブランディング、ロイヤリティ向上とさまざまな目的で活用できます。各SNSに応じて、リーチできるユーザー層も異なるので、それぞれの特徴を理解して最適なサービスでマーケティングをおこなうようにしましょう。
また、最近のトレンドとして、SNSでの検索行為が広がっているため、企業アカウントを運用する際は、ユーザーが拾いやすい検索しやすいキーワードを意識した投稿や、ハッシュタグなどを使用するとよいでしょう。